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また、道内海洋土木事業者の特性として、海象条件による制約が大きいため、年間稼働期間が短いことがあげられる。加えて、公共工事の先行き不透明性の増大により発注タイミングが遅延化しており、稼働期間の短さと相まって、より短納期が要求されている状況にある。こうした事情による春先にかけての納期の時期的集中などの傾向が指摘され、同時に短納期の主な原因となっている。
営業・情報面
・道内造船業者の作業船建造技術・能力を知る手だてがない。
・作業船に対する意欲が感じられない(営業に対する姿勢等の面)。瀬戸内造船業者は提案能力が高い。
道内造船業者の営業面への評価としては、各海洋土木事業者ともに努力姿勢が低いとみている傾向があることが分かった。現時点では、道内造船業者の作業船造りに関する技術・能力を知る手だてが乏しく、発注の際の判断材料に乏しいと考えている業者が多い。また、作業船への取り組みの意欲が感じられないという厳しい指摘をする業者もあった。
さらに、瀬戸内造船業者と比較した場合の道内業者の劣っている点として、使い勝手や操作性の向上あるいはコストダウン策等も含めた総合的な提案能力が低いことを指摘する業者が多かった。
発注姿勢
・建造実績があることなどが建造発注選定の理由となることが多い。
・現状では、技術面のリスクを勘案すると本州造船所に発注した方が安心である。
発注姿勢として、道内海洋土木事業者が作業船を新造発注する場合、これまでの取引実績あるいは当該造船所での建造船の使用実績があるなど品質に対する信頼性という判断基準が大きく作用しており、本州瀬戸内地域の造船業者への発注が多くなっていることが分かった。また、工事監督が容易である点や台船部のアフターケアなどの観点から、本来は地元(道内)で建造することが望ましいとの考えを抱きつつも、技術面等のリスクを勘案して本州造船所での新造を選択していると訴える業者も存在した。

 

 

 

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